なんで歩いてるんだよ ●リール ♂ 20歳  ●リリア ♀ 19歳 ●リト  ♂ 20歳 リール:・・・・ハァ・・・・ハァ・・・ SE:足音  【回想】 リール:旅をするのに理由がいるのかよ リト:違う、なんで旅なんてしたいんだ。俺達は今まで三人でがんばってきたのに。    なぜ突然旅なんてでるんだ。 外は一面砂漠なんだぞ リリア:そうよ。なんでいきなり? リール:・・・俺は・・・歩いてみたいんだ。 あるだろう?こういう衝動 リト:・・・お前にしかわからないよそれは。 リリア:砂漠の先になにかあるの? リール:いや・・・もう一度言うが、俺の旅に目的地は無い。 リリア:あたし達の気持ちもわかってくれてる? リール:ああ・・・ 心配なんだろうが、それよりも果たしたいことがある。 リト:? 果たす?何を リール:どんな巡り合わせも、人間はうまく乗り越えられていけるかどうか。 リリア:どういうこと? リール:人が病気に勝てるか。人が自然災害に勝てるか。人が人に勝てるか。それを証明したい。 リト:なにをお前・・・言ってるんだよ。ふざけたことをいうな。 リール:俺のどこがふざけてるって リト:全部だよ! お前俺達が心配してる気持ちもしらねぇで、よくそんなこと言えるな! リール:わかってるっていってるだろうが!  リリア:ちょっと! 変な喧嘩しないで。  リール:・・・ リト:・・・ リール:すまない。 でも俺の意見は変わらない。 リト:・・・そうか。  リリア:・・・本当に行くの。 リール:もう止めるな。 悪いな リト:リール。 これ持ってけ。 リール:?なんだこれは。ただの紙・・・? リト:ポケットに入れておけ。ほら。 リール:・・・ッフ   わかった。  リト:砂漠の中は辛いぞ。負けるなよ。 リール:お返しだ。 リト:え? リール:お返し。 リト:ただの紙切れ返しか。  ・・・わかった もらっておこう。 リール:・・・。 リリア:リト・・・。 (ため息)わかった。 リール。無理しないでよね。 リール:ああ。 リリア:・・・ばいばい。 リト:じゃあな。 死ぬなよなんていわないからな。そんな砂漠は危険じゃない。死ぬほどのことがあったら    すぐに戻ってこいよ。  リール:大丈夫だ。 ・・・行って来る。 ・・・【現実】 リール:・・・ハァ・・・ハァ・・・     ッ・・・             正直なところ、自分がなぜここまで来ているのか。なぜ歩いているのか。わからないでいるんだ。     全部忘れてしまいたいような。 ・・・とは言っても、耐えられないほどの苦痛を味わった覚えは無いが・・・。          クッ・・・ハァ・・・・・・ッ・・・・(また歩き出すような)     !!!・・・ グッハァ・・・!・・・ ゲホッ!・・・・(血を吐く)     ハァ・・・ ハァ・・・。          どうして・・・なぜ・・・なにゆえ・・・・・・  なんで?      俺がこうにまでなっても、歩きたくなった理由。      ・・・理由なんか・・・・無いさ・・・。     どうしても あの二人には見せたくないものがあったから。      あの場から・・・離れたか・・・・・た。     あ・・・・・・・   これが理由だったか・・・。     ・・・     ・・・ハァ・・・(歩き出す)   リト:リールが旅に出て、3日が経とうとしていた。     俺とリリアは、いつもどおり家での生活だった。    リールとリリア、それと俺は 三つ子の三兄弟。    生まれた頃から、俺達はずっと一緒だった。    親はもう死んでしまったけど、俺達だけで 砂漠の中でも一番安全で、隣にオアシスがある場所に家を建てた。    荒い風が吹いても、大丈夫なように 頑丈な作りになってる。      しかし 周りには一面が砂漠。     月に1度、食料を分けに どこからかはわからないが馬車で送り届けてくれるおじいさんがいる。     名前も知らない。誰かもわからないけど。      ・・・気づいたら家の前に食料1年分が置いてあったりしたこともあった。    そんな手助け?もあり、過去18年間 ずっとここで生きて暮らしてきた。     ・・・だけどリールは耐えられなかったのかな。    俺は・・・実はリールがなぜ旅に出たかったのか、理由がうっすらとわかっている気がした。     リリアには話したことないけど。      ・・・とにかく無事に帰ってきてほしい。  リリア:リト? リト:? リリア:どしたの リト:いや。なんでこんなことなっちゃったかなって。昔を考えていた。 リリア:昔・・・ね。ごめん あたしそういうの苦手だからあんまり考えないようにする。 リト:・・・そうか。すまん。 リリア:いいよ。それより、リールがくれた紙は? リト:?・・・俺のタンスに入れてある。  リリア:なんか書いてあったの? リト:いや。ただの真っ白い紙だよ。  リリア:そう。無事でいるといいね・・・。 リト:ああ・・・。    少し席をはずす。 リリア:どこいくの? リト:外の空気を吸いたい。 リリア:何かやっておく? リト:いや 家事は俺がやる。お前はゆっくり休んどけ。 リリア:・・・ありがとう。 SE:ガチャ リト:・・・ (ただの真っ白い紙だよ)・・・・・。    ただの・・・。     いや まさかな。 返事をされたのか?俺は。     でも・・・やり方を教えた覚えは無い・・・。     真似してかっこつけたかっただけかな・・・。    リール:ハァ・・・ ハァ・・・  ゲホッ・・・ ハァ・・・        あいつはきっともうわかってる。     バレてたな あんな演技じゃ絶対バレてるよな。       ・・・ハハッ・・・ 俺も下手な芝居したもんだ。      俺の余命は あと5時間     ・・・      (約20秒 ずっと歩く)       ・・・                  ? ・・・家か・・・(古い家がぽつりとある)       ・・・馬車?・・・     ・・・        だれかいるか・・・。      ・・・だれかいるか!!!  ゲホッ!・・・ウェッ・・・。      ・・・ 入るぞ・・・          ・・・          (ナレっぽく)そこには誰もいなかった。写真が机の上に無造作においてある。        俺は そこで泣いた。大号泣したんだ。       写真には 幼少の頃の俺達、そして写真の裏に 「一生愛している ごめんなさい」と書いてあった。     俺の中で なにかがつながったんだ。      月に一度ほど、馬車でやってくるじいさんが居る。そのじいさんはいつも俺達に食料をわけてくれた。     ここはそのじいさんの家かもしれない。     しかし 今の俺にはもう時間がない。お礼を言いたくても いないようじゃ意味がない。      ・・・俺は写真の裏に「ありがとう」と書いてその家から出た。      ・・・!  ウグォ・・・・・アアッ・・!・・・。ゲホッ・・・。       リトォ・・・ リリアァ・・・      ・・・ いや       いままでありがとうなんてザラな台詞は吐かない。      ずっと元気でいろ。 見守って・・・いるから。            ・・・       ゲホッ・・・。 ・・・   SE ドサッ       (倒れる)      ・・・ ただの紙・・・切れ・・・。      (紙切れを見る)・・・!・・・              「絶対戻って来い」・・・か・・・仕掛け手紙か・・・。      砂がかぶって見れるように・・・なったのか・・・。            (泣き始める)  リト:とにかく無事でいてくれればそれでいい。      リール。絶対戻ってこいよ。    ・・・。 SE ガチャ   リト:どうした リリア:ハァ・・・・・・(泣き)       リト:お前 その紙 リリア:リールのだよ あなたがもらったやつ(泣き)  リト:・・・        見せてくれ リリア:・・・  リト:・・・   リール:お前らにこんな・・・かっこ悪い姿見せられない。      だから 家を出たかった・・・。       家に帰って来い・・・か。 もうだめだ・・・      ダメなんだよ・・・(泣き)      悪いな・・・。       ・・・      ・・・ ・・ア・・・  ・・・・ゲフッ・・・。      ・・・グスッ・・・。 リト:・・・グスッ・・・。  リリア:リール・・・(泣き) リト:リールは・・・ リールは     実はもうダメなんだ・・・(泣き) リリア:・・・!!!何がよ!!!あなた黙ってたのね!!!(泣き)      なんで あたしには・・・ あたしには言わないのよ・・・。 リト:・・・生まれたときから あいつが一番体が弱かったんだ・・・     ・・・  リリア:だからってさ・・・ 何で黙ってるの・・・  リト:・・・ リリア:なんとかいいなさいよ!!!  リール:・・・ (泣き) リト:・・・  (泣き) リリア:・・・ (泣き) 三人:うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!(各自泣き叫び。親フラきつければ悶える感じで)   リール:ダメ・・・だ・・・       もうお別れかァ・・・。       早いもんだなァ・・・      いやだなァ・・・・。   リト:・・・・なんでこんな手使って返事してんだよ・・・。     「ごめん」じゃねぇよ!!! ・・・グスッ・・・。  リール:・・・悪いな・・・。      こういうのは苦手なんだよ・・・。オレァ・・・。  リト:・・・グスッ・・・(泣き) リール:泣くな・・・よ・・・お前ぇ・・・ リリア:グスッ・・・(泣き) リール:おま・・・えも・・・          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      おやすみ。 SE:ドサッ (間をおいて)  リト:(その後のナレ風に)俺がリールからもらった"ただの紙"には・・・。     「Re:Sorry」と書いてあったんだ。     俺がリールに渡した紙には「Re:Real Back to the home」と書いてたんだ。       最初から返事が俺の手元にあったってことだ。      ・・・         だからって・・・なんで俺達を置いて死ぬんだよ。      なんで歩いてるんだよ。      なんで歩いてるんだよ!!!。           なぁ・・・教えてくれ・・・     俺達・・・なんで歩いてるんだよ。。。   -END-