夏祭り ●鈴田 慶吾 性別 男 年齢 25歳 仕事に命を掛けていたが、会社と喧嘩をして退職。実家に戻り、自営業の電気屋を手伝いながらプログラマーをしている。 仕事人間で真面目な性格。基本的に何でも卒なくこなす。 ●寺田 あすか 性別 女 年齢 26歳 慶吾の1つ年上のお姉さん。慶吾とは中学、高校と遊んでいた仲。 年がたつにつれて何となく遊ばなくなり、気がつけば疎遠になっていた。優しい性格で大人の女性。 ●夏山 相馬 性別 男 年齢 25歳 慶吾の親友で遊び人。チャラチャラしているが、芯の通った男。 慶吾とは中学時代からの親友。いろんなところに顔が利く。 ●杉山 理穂子 性別 女 年齢 26歳 あすかと仲が良い活発な女性。めがねっこ。 実は相馬と同じ仕事をしているが仕事の内容は秘密。さらに実は相馬と…… ●明日春 大悟 性別・男 年齢 25歳 どことなく慶吾に似ている好青年。それ以外キャラ付けはあえてしない。 相馬 おっしゃああ! やるぞおお! 慶吾 おっしゃー。(棒読み) 相馬 なんだよっ! 元気だせよっ! 祭りだぞってばよ。 慶吾 祭りだなぁ……。俺はいったい何をやっているのだろうか……。 相馬 まったく。たまには人と接しろよ引き篭りが! 慶吾 引き篭もりで結構。俺は……都会で汚い大人たちを目の当たりにして、それでも必死に働いて……。 相馬 はいはいはい。こっちは生まれてこの方、このど田舎で過ごしているからわからん話だなー。 慶吾 というか俺だってちゃんと仕事はしている。実家の電気屋の仕事もしているし、フリーでライターとデザイナーもしている。 相馬 それを世の中ではニートと……。 慶吾 よばねーよ。働いているっていうの。まったく……。 相馬 まぁまぁ。たまにはいいじゃねーのよ。人と接する仕事もして気分変えようぜ〜。 慶吾 気分変えるも何も……なんで突然……お好み焼き屋なんだ? 相馬 出店……一回やってみたかったんだ……。 慶吾 それに俺を巻き込むなっていうの……。というかテントまで建てて言うのも遅いが……これちゃんと許可もらっているんだろうな……? 相馬 きょか? 慶吾 ……おいおいおい。……こういう夏祭りの出店ってよ……ヤのつくお仕事の方が出てくるんじゃないだろうな……。 相馬 冗談だっていうのー! ちゃんと許可はもらっているから大丈夫だってばー。 慶吾 ……お前の大丈夫は信用できねえ。 相馬 はいはい。文句ばっかり言っていないで手を動かせっていうのー。 慶吾 何で俺が……。 慶吾 はいっ! いらっしゃいませー! お好み焼き2つですね! 焼きたてお渡しするんで、少々お待ちくださいね! 相馬 それで実際に始まってみれば……そういえばけーごって高校のときとか接客うまかったよなぁ……。 慶吾 おらぁそーま! 文句言ってないでさっさとお好み焼き焼け! バカみたいにお好み焼き焼き続けろ! 相馬 うるへー。……っと。へい、お好み焼き2つあがりー。 慶吾 お待たせしました! 火傷しないようにお気をつけくださいね! ありがとうございました! 相馬 まぁ、楽しそうで何よりだ。 慶吾 仕事だからな。仕事をおろそかにするわけにはいかん。 相馬 相変わらず何でもこなしちまう天才肌なんだからなぁ。 慶吾 俺は天才じゃない。やれと言われたら必死に覚えるだけだって言っているだろ。 相馬 そーでしたねー。お前は天才じゃなくて秀才だったな。 慶吾 秀才でもないけどな。 相馬 それにしても浴衣の娘はいいなぁ。 慶吾 うなじ辺りがぐっとくるな。 相馬 ……それなのに……。 慶吾 ……俺たちの周りは女っ気ないな……。 相馬 そういえばお前最近どーよ。 慶吾 どうって何が? 相馬 女。 慶吾 知っての通りさっぱりだ。 相馬 お前は、相変わらず浮いた話がないな……。 慶吾 そういうお前はこの前付き合っていたっていう子はどうしたよ。 相馬 だれ? 詩織ちゃんのことか? 慶吾 あーうん。その子は知らんな。いつ変わった……? 相馬 あれ? 言ってなかったっけ? 慶吾 知らん。 相馬 それじゃあ今度紹介するわー。 慶吾 お前は、相変わらずチャラいな……。 相馬 チャラい言うなっ! 傷つくわっ! 慶吾 しかし彼女かぁ……。めんどくせ……。 相馬 お前、その歳でそんなこと言っているなよ……。 慶吾 別に恋人できなくても死なないだろ。 相馬 俺は死ぬな。 慶吾 朽ち果ててしまえ。 相馬 まぁでもそう言わずにナンパでもしてみるか? 慶吾 詩織ちゃんにチクるぞ。 相馬 そんなことで悲しむ俺の女ではないさ。 慶吾 ……そうですかー。 あすか すいませーん。お好み焼きくださいー。 慶吾 はーい! 相馬 一瞬で仕事モードに変わりやがった……。 あすか お好み焼き2つください。 慶吾 はい! お好み焼き2つですね! 焼きたてお渡しするので少々お待ちくださいね! あすか はい。……ん? 慶吾 それじゃあ、先にお会計よろしいですか? あすか あれ? もしかして、鈴田……くん? 慶吾 ……んん? ええっと……。 あすか わーなつかしいー! 慶吾 あー……。 あすか 大人になったなぁ〜。って……慶吾くん……だよね? 慶吾 あっちゃん……ですか? あすか そうそう、あっちゃん。なつかしいなぁー。 慶吾 あぁお久しぶりです。 あすか っていうか今こっちにいるの? なんか東京行ったって風の噂で聞いたけど。 慶吾 あー最近、こっちに帰ってきたんですよ。 あすか へぇー。そういえば相馬くんは? 相馬 ういーっす。 あすか あれー? 相馬くんも一緒だったんだ。というか今でも二人でつるんでいるんだね。 相馬 こいつと縁が切れることなんてないだろうなぁ。 慶吾 すでに腐った縁だからな。 あすか あはは! 相変わらずだなぁ〜。それで二人は出店? 慶吾 突然、そーまに呼び出されて、突然出店をやることになったんですよー。 相馬 ノリノリに接客してたくせに。 慶吾 だから仕事って言われたら真面目にやるのが俺の主義だっての。 あすか さすが慶吾くんだ。変わらないねー。 相馬 こいつが変わるわけないさー! そして俺もなーー! あすか 相馬くんも変わらないねぇ。 慶吾 あっちゃんは、こっちで就職ですか? あすか うん。ほら北のほうにジャスコあるでしょ? あそこのおもちゃ売り場で働いてる。 慶吾 ジャスコかぁ。近いですな。 あすか そういう慶吾くんは? 慶吾 実家の電気屋やりながら夜はフリーのライターとデザイナーです。 あすか あいかわらず多芸だねえ。 慶吾 まぁそれほど多芸でもないですけどね。いうなら器用貧乏ですわ。 あすか 器用貧乏って自分で言う人って自慢にしか聞こえないなぁ〜。 慶吾 そうかな……。自分を卑下しているつもりなんですが。 あすか あはは! 相馬 へい、お好み焼き2つできたよー。 あすか ありがとー。それでおいくら? 相馬 あーいいよいいよー。せっかくの再開だし。 あすか いやぁそれは悪いよ。これでも二人よりも一つお姉さんだし。 慶吾 いいですよー。それでも気が引けるっていうなら、今度カラオケでもいきましょうよ。またあのときのメンバーとかで。 あすか うーん。わかった。それじゃあこのお好み焼きはありがたくいただくね。それからカラオケの件、了解しました。 慶吾 俺、携帯の番号変わってないんで、また連絡してくださいよ。 あすか 番号あるかな……。さすがに10年前だし……。そして今手元に携帯がないという……。 相馬 ほれメモとペン。 慶吾 …………それじゃあ俺の番号メモしておくんで、あとでまた掛けてくださいよ。 あすか はーい。それじゃあ後で電話するね。 相馬 まぁ最悪、りっちゃん経由で連絡くれれば俺に繋がるからな。 あすか あ、そっか。相馬くんとりっちゃんって同じ仕事なんだっけ。 相馬 そうよー。というか連れはいいの? あすか あ、そうだった。お好み焼き渡さなきゃ。それじゃあ二人ともまたね! 相馬 おう、またねー。 慶吾 またですー。 相馬 …………。(唸る感じで) 慶吾 …………。(唸る感じで) 相馬 お前、静かに避けようとしただろ。 慶吾 お前、あの青春時代に何をやらかしたのか覚えていないのか。 相馬 俺とあっちゃんが付き合ったことか? 慶吾 それも俺があっちゃんのこと好きだって話を聞いていたはずのお前がな。 相馬 今聞くと俺ってひどいな。 慶吾 まぁそれに対して怒りもしないし、悲しみもしなかったけどな。 相馬 それこそ今なら笑い話として聞けるんだが、あの後、驚きはしたもののお前の反応はドライだったな。なんでだ? 慶吾 別に。特に理由はないかな。あっちゃんのことは好きだったけど、そのあっちゃんが付き合ったのがお前なら……まぁいっかって感じだった。 相馬 そこは親友を信頼した、とか言えよ。 慶吾 いわねーよ、そんな臭い台詞。 相馬 それで? それがあっちゃんを静かに避けた理由か? 慶吾 というかそーまとあっちゃんが付き合ってから、あっちゃんたちとの関係が自然消滅したじゃん。だからなんか居住まいが悪いというか、なんかそんな感じ。 相馬 ふーん。 慶吾 まぁこういう再会にちょっとロマンティックなことを考えもしなかったわけでもない。 相馬 それなら行動起こしちまえよ。 慶吾 どうだろうな……。どうなんだろうなぁ。 相馬 ええいめんどくさいやつだな。 理穂子 めんどくさい子だにゃー。 相馬 で、りっちゃんは何で突然現れた。 慶吾 え? りっちゃん? 理穂子 慶吾くんお久しぶりー。 慶吾 お久しぶりですりっちゃん。 理穂子 かったいなぁ。昔みたいにタメ口でいいってのー。 慶吾 10年ぶりでどう接していたのか忘れちゃったんですよ。 理穂子 ひっどいなぁ。色々遊び回ったのに。 慶吾 話をしていればノリを思い出しますよ。というか思い出しつつある。 理穂子 にゃっほほほ。いいことだー。 相馬 それで? りっちゃんはここで何してんだ? 理穂子 あっちゃんと久しぶりに夏祭りいこーぜってことで馳せ参じたわけですわ。 相馬 そのあっちゃんはさっきお好み焼き買っていったぞ。 理穂子 ありゃ。せっかく二人で突然押しかけて驚かせてやろうと思ったのに。というかあの子は待ち合わせの場所にこないで何お好み焼きを買っているかなぁ。 慶吾 りっちゃんとあっちゃんは今でも? 理穂子 おうマブだぜい。まぁ二人とはなんか自然消滅的に付き合いなくなっちゃったから知らないよね〜。 相馬 そんなことより、りっちゃんよ。 理穂子 なんだい相馬くんや。 相馬 けーごとあっちゃんのロマンティックが止まらない状態なんだぜ。 慶吾 だから違うっていうの。 理穂子 ほうほうほう。それならここは私が空気を読むべきかな。 相馬 読む空気を間違えるんじゃないぞ。 理穂子 それでそのロマンティック爆走ロマン野郎の慶吾くんは、アクションを起こさないの? 慶吾 だから……。 相馬 まぁいいじゃん? これもなんかの縁だし。行ってこいよ〜。もうすぐ花火も上がるし。 慶吾 ……わーったよ。行ってくるよ。 理穂子 お姉さん……うれしいわ……。慶吾くんがこんなに逞しくなったなんて……。決断するまで長かったけどね。 慶吾 こんなんでいいのかな……。というかこのまま何もなくてもお前ら笑うなよ。 相馬 笑わない笑わない。 慶吾 まぁ別に告白をしにくわけではないけどな。 理穂子 ほい、あっちゃんの番号。 慶吾 人の番号をほいほい教えるのはどうかと思うけど……。 理穂子 私たちの仲なんだから別にいいじゃーん。 慶吾 それじゃあありがたくいただくよ。んじゃ行って来ます。 相馬 がんばれよおお! 理穂子 がんばれよおお! 慶吾 あーくそ……。なんか緊張してきた……。カンファレンスでたくさんのメディアと300人の顧客の前でプレゼンしたときよりも緊張してきた……。ええい、ままよ! SE:ぷるるる あすか 慶吾くん? 慶吾 あ、は、はい慶吾です。 あすか すごーい。私まだ番号消してなかったよー。 慶吾 さすがにそっちは番号変わっていたんですね。 あすか そりゃあ10年だもん。というか慶吾くんは本当に番号変えてなかったんだね。 慶吾 番号変えて周りに教えるのめんどくさかったですし、仕事で使っていましたし、それに……。 あすか それに? 慶吾 昔の友達から電話が来ても応答できるようにしておきたかったんですよ。 あすか あはは! それは少し気持ちわかるかなぁ。それで電話してきてどうしたの? 慶吾 あ、えっと……出店が落ち着いたんで少しブラブラしようかと思ったんですが、一人だとつまらないし……知り合いもこっちに帰ってきたばっかりで誰もいないしで……。 あすか そうなんだ。こっちも連れと会えなくて一人でつまらなかったところだから合流しよっか。私は、会場の近くのサンクスの前にいるよー。そっちは? 慶吾 こっちは……特に目印もないですね……。しいて言うなら人だらけ……。とりあえずサンクスならわかるんで俺がそっちいきますね。 あすか 了解〜。それじゃあ待ってるねー。 慶吾 あっちゃん〜! あすか あ、慶吾くんー。早かったね。 慶吾 一応、人がたくさんいるとはいえ、夜道に女性一人待たせるのは気が引けるので急いできました。道中、三台ぐらい車を撥ねてきました。 あすか あはは! 慶吾 それにあっちゃんを一人で5分以上待たせるとどっかにいっちゃうので……。 あすか よく覚えていたね〜。それで? これからどうしよっか? 慶吾 俺は花火見たいですね。ここの花火、何だかんだで10年ぶりぐらいなんで。 あすか そだね。せっかくだし花火見ながらまったりしますか。 慶吾 ですね。 あすか おぉーここなつかしいなぁ。 慶吾 あいかわらず秘密のスポットですな。 あすか でもちらほら人がいるね。 慶吾 10年経ちましたもんね。さすがに知られたでしょうね。 あすか そうだねぇ。よいしょっと。あ、ちょっとメールするね。 慶吾 はい。……ふぅ。 あすか どうしたー? ため息なんてー歳かぁー? ……歳か……。 慶吾 まだ25歳です。あっちゃんも26歳じゃないですか。 あすか こらー。女性の歳を言うなー! 慶吾 いや、一つしか違わないんですから。 あすか わかっていても20後半になるとちょっと気にするんだってば……。 慶吾 そうですよね。もう25かぁ。 あすか しみじみ言わないの! 慶吾 はは。このノリなつかしいな。あっちゃんも変わらない。 あすか やっと戻ったね。 慶吾 え? あすか 慶吾くん、なんか他人行儀なんだもん。 慶吾 あーいや……。昔とは違って俺も社会人として年上の方を敬う精神を鍛え上げられたから。 あすか ふーん。慶吾くんも大人になったということかぁ。 慶吾 まぁ人は変わるってことかな。 あすか そうだねぇ。 慶吾 ……。 あすか ……。 (⇒突然の沈黙みたいに鼻を擦る音や小さな咳払い) あすか そういえばさ。 慶吾 はい? あすか 慶吾くんたち……というか慶吾くんが私と会わなくなった原因って何かあるの? 慶吾 え? あすか 結構気にしていたんだよね。私何かしたのかなって。 慶吾 いや……別に……。 あすか と言っても、慶吾くんに会うまですっかり忘れていたんだけどね。 慶吾 はは……。 あすか やっぱり私が相馬くんと付き合ったことが原因? 慶吾 まぁそんなところかな。 あすか そっか……。うん、なんかごめんね……。 慶吾 別に謝られることでは……。 あすか やっぱり仲が良かったグループの中で恋人とかできちゃうと気をつかっちゃうよね。 慶吾 ……え、あ、うん。まぁ……。 あすか ……まぁ何ていうかなぁ。若気の至りだったかなぁ、と反省はしています。 慶吾 ちなみに聞きたいんだけどそーまとはどれぐらい付き合って? あすか 相馬くんから聞いてないの? 慶吾 聞いていないというか、その話には触れていなかったかなぁ。その頃、学校が忙しくなって相馬とは1年ぐらい、電話以外では話をしていなかったし。 あすか そうなんだ。まぁ……できればその辺の話を詳しくしたくはないんだけど……。簡単な話、あんまり長くなかったよ? たぶん3ヶ月ぐらい。 慶吾 短かっ! あすか 結局その間も特に何もなかったしね……。きちょーなせーしゅんの時間がもったいないー。 慶吾 そうだったんだ……。ちなみに理由は? あすか ソリが合わなかった? 相馬くんが色々不精すぎた? 色々理由があると思うけど、たぶん単純に相性が悪かったということかな? 慶吾 結構お似合いかと思っていたけど。 あすか そう? 相馬くんはどちらかというとりっちゃんと相性よかったかな。私は……そうだなぁどちらかというと慶吾くんと相性よかったかな。 慶吾 ぶっ! あすか ちょ、笑わないでよっ! ちょっとショックじゃん……。 慶吾 笑ってない笑ってない。断じて違う……。 あすか ……ちがうの? 慶吾 ちがうちがう。……はぁ。 あすか 今度はため息とは……。 慶吾 あー……あー……はぁ……。まったく……どうしてこう……あああーーなんかーー! あすか ちょっとどうしたの……? 慶吾 いや……甘酸っぱいなぁって……。 あすか 青春が? 慶吾 そう青春が……。 あすか あはは! 慶吾 あのさ……あっちゃん……俺さ……。 大悟 お、いたいた。 あすか あーダイくん遅いよー。 慶吾 へ? 大悟 遅いって……お好み焼き貰って一緒に食べていたはずなのに気がつけばいなくなっているから探し回っていたっていうの。 あすか だーかーらー。私はどこどこにいるよーってメールしていたじゃん。 大悟 なんでものの5分もじっとできないんだお前は……。到着したと思ったら別の場所にいるってメールしまくりやがって……。 慶吾 あの……? あすか あ、慶吾くん、紹介するね。彼、ダイくん。ええっと……私の……旦那さん……になる人。えへへ。 慶吾 ……へ? あすか それでダイくん。こっちが慶吾くん。結構前に高校生の時に色々遊んだ仲間って話したでしょう? 大悟 あーしていたなぁ。はじめまして。俺は明日春 大悟といいます。たしか、あすかの親友のりっちゃん? たちと色々むちゃくちゃやっていたって人ですよね? あすか いやいや、むちゃくちゃまでしてないよ……。……したかな? 慶吾 あー……ええっと……鈴田 慶吾です……。えっと……旦那さん……? 大悟 あ、っと……ええっと……そう……なりますね。 あすか あのね……。つい昨日……プロポーズされました……。それで……私はOKしたわけで……。 慶吾 へ、へぇ……。 あすか 今日の夏祭りでりっちゃんに結婚会見をしようと思っていたんだ。そうしたら慶吾くんたちにも会ったから、ぜひ紹介しようと思ってね。 慶吾 ほ、ほう……。 あすか あの、慶吾くん? なんか百面相みたいに楽しいことになっているよ……? 慶吾 …………い あすか い? 慶吾 いやぁああ! 驚いたああああ! あすか うわぁっ! びっくりした……。 慶吾 驚いた驚いた。今年始まって以来の驚きだ! そしてめでたい! お二人ともおめでとう! あすか ありがとう! 大悟 いやいや……照れるな……。 慶吾 それで結婚式とかは? あすか いや……そこまではまだ……。 大悟 近々、式場の手配とかをするつもりではあります。 慶吾 そうかーー! それじゃあ結婚式には呼んで下さいよっ! そうだ。相馬とりっちゃんと俺で結婚式の二次会の仕切りでもやるかな! あすか おーー! それはすごくうれしいよ! ぜひ盛り上げてもらいたい! 慶吾 任せておけってばよ! 俺が最高に盛り上げるプラン考えるぜ! あすか やっぱり慶吾くんは頼もしいなぁ。 大悟 それで、あすか。りっちゃん? という人はここにいないのか? あすか あーそうだった。りっちゃんも探しているんだった。 慶吾 あ、りっちゃんなら屋台のところに居たよ。たぶん相馬となんか話をしてるんだと思う。 あすか ほんとに? それじゃあ屋台に行ってみようかー! 慶吾 うん、いってらっしゃーーい! あすか あれ? 慶吾くんはこないの? 慶吾 だから言ったじゃん。俺は花火が見たいって。10年ぶりだから。もうすぐ始まるし、ここ特等席だから見ていたいのよ。 あすか そっかぁ。それじゃありっちゃんたちも後でここに呼んで来るよ。 慶吾 了解〜。それじゃあ俺はここで場所取りしながら花火見ているよ〜 あすか うん、わかったー。それじゃあまた後でね〜。 大悟 それでは少し失礼します。 慶吾 いってらっしゃーい! ………………いって…らしゃい……。はぁ……甘酸っぱいな……。そして、塩辛いな……。 慶吾 ………………あー…………死にてぇ…………。