シスター 登場人物 兄 25歳 なんだかんだで妹のことを思っている 妹 20歳 子供っぽい 妹「ただいまー!」 兄「……」 妹「うわっ、またこんな散らかしてー。もぉ、女の子も居るんだからパンツぐらいちゃんと片付けてよー」 兄「……」 妹「あーあ疲れちゃったぁ。お腹もすいたなぁ。にーちゃんなんか作ってー」 兄「……」 妹「ねぇー、にーちゃーん。にーぃちゃぁーーん」 兄「……いい加減にしなさーい!!」 〜タイトル〜 兄「っ毎日毎日俺の部屋に入り浸っては部屋が汚いだの飯を作れだの!一体俺は何なんだよお前の家政婦か!?」 妹「怒鳴らないでよ近所迷惑だよ。あとここはにーちゃんの部屋じゃなくてにーちゃんと私の部屋。年頃の女の子と一緒に住んでるんだからお掃除ぐらいしとかなきゃだめでしょー」 兄「俺は忙しくて掃除ちゃんとしてる時間ないの!それからここは俺が借りてるれっきとした俺の部屋だ!よってお前に掃除しろだの指図を受ける筋合いはない」 妹「ひっどーい。可愛い妹のお願いを聞いてくれないっていうの?」 兄「お願いしてないだろ!それとなんだよその呼び方!にーちゃんにーちゃんって……お前は中学生の弟かっ!ちゃんと『お』を付けてお兄ちゃんと呼びなさい!」 妹「なにそれ。にーちゃんって妹萌えなの…?」 兄「にーちゃん言うな!『お』兄ちゃんだ!」 妹「うわやだきもーい」 兄「ったく……家事手伝うって条件で俺に着いてきて上京した癖に朝から晩までゴロゴロふらふらと……」 妹「家事ちゃんとしてるよ?お洗濯。とお皿洗い」 兄「料理は」 妹「できないから無理」 兄「できないじゃなくてやらない、だろ」 妹「違うの。やってみたけどできないの」 兄「頑張るって約束は」 妹「えっとぉなんのことですかぁ」 兄「これだよ……」 兄「ホントお前いつになったら出て行くの?いつまでもふらふらして……」 妹「そんな冷たいこと言わないでよー」 兄「やることないなら実家帰れば?」 妹「私は東京で歌手になるって決めたの!それまでは絶対に帰んないんだから」 兄「お前俺にカラオケの採点で勝ったことあるのかよ」 妹「う、うるさいなぁ。すぐににーちゃんなんか追い越してやるからいいの」 兄「俺を追い越したって世間様に通用するかよ」 妹「認められるように頑張るもん」 兄「頑張るってお前なぁ…」 妹「なによ、ちょっとは妹を応援してあげようっていう気持ちはないの?にーちゃんてばいっつもそれなんだから!」 兄「怒鳴るなよ。俺は世の中の厳しさをだな……」 妹「またのその話!にーちゃんはなんなの?私の味方じゃないの!?」 兄「だから怒鳴るなって!近所迷惑っつたのお前だろーが!」 妹「にーちゃんだって怒鳴ってるじゃない!」 兄「お前の方が遥かにうるさい!」 妹「私なんかよりにーちゃんのほうが何倍もうるさい!」 兄「いーや、お前の方がうるさいね!」 妹「なによこの万年彼女ナシ!きっと説教たれてばっかりだから親父臭くてモテなかったのね!」 兄「なんだと!?そういうお前はどうなんだよ!ペチャパイのお前に寄ってくる男なんかいるのか!?」 妹「ペチャパイってなによ実の妹にセクハラなんて最低!この若年ハゲ!」 兄「俺は現実を教えてやっただけだよ色気ナシ!!あと俺はハゲてない!」 妹「もういい!にーちゃんなんてだいきらい!!」 兄「おーおーおー!嫌われて結構結構!せいせいするね!」 妹「なによーー!もうこんなとこ出てってやる!」 兄「それはありがたいよ、思ってもないことだな!今すぐ出てけ!」 妹「言われなくても出てくもん!!」   SE:妹、玄関へ 妹「ほんとに出てくんだからね!」 兄「二度と帰ってくんな世間知らず!」 妹「……っハゲ!!」 兄「ハゲてねえよ!」   SE:バタン 兄「……」 兄「あー……やっとうるさいのがいなくなったー…」 兄「……」 兄「せ、せいせいするぜー…」 兄「……」 兄「…いや、言いすぎちゃいない。言いすぎなんてことはない決してない。うん。あいつが悪いんだ。いつまでも子供みたいな考え方しかできないあいつが悪い。うん。よし」 兄「……」 兄「いやでもペチャパイはやばかったか…?」 兄「いやいやいや!言い出したのはあいつだし!うん。いくら親父がハゲてるからってまだ25でフサフサの俺を」   SE:携帯着信音 兄「ん?電話か?」 兄「俺の…じゃない」 兄「……携帯ぐらい持って行けよなぁ」 ―――― 妹「携帯くらい持ってくればよかった……」 妹「カバンもお財布もないし、振り返っても……いるわけないし…。あの薄情者。薄情ハゲ」 妹「…なによ、ちょっとくらい応援してくれたっていいのに。にーちゃんってば説教ばっかり。私だって頑張って……」   兄「朝から晩までゴロゴロふらふらと……」 妹「……ゴロゴロもふらふらもしてないもん!」   兄「やることないなら実家帰れば?」 妹「だから私は歌手になるって夢があるの!小さいころからの夢なの!その為に毎日練習だって…」   兄「俺を追い越したって世間様に通用するかよ」 妹「それぐらい分かってるもん…」 妹「大体なによ!自分だって今の仕事猛反対されてたくせに!応援してあげたの私くらいじゃない!パパやママにガミガミ言われてるなかで味方してあげたのに。にーちゃんは努力する人だから絶対できるって、頑張ってって…」 妹「ちょっとくらい応援してくれたって、頑張れくらい…言ってくれたっていいのに」 妹「にーちゃんのバカ。ハゲ。バカハゲ…」 兄「だから俺はハゲてないって」 妹「!! なによ、なんか用」 兄「出て行くんだろ?荷物置いてくなよ邪魔だ」 妹「……っ私のカバン勝手に触んないで!」   SE 兄「おいおいひったくるなよ折角持ってきてやったのに」 妹「どうもありがとう!!さっさと帰れば!」 兄「どうせだから見送るよ。ここで」 妹「……」 兄「どうしたんだよ?行かないのか?」 妹「なんでよ……」 兄「え?なんて?」 妹「応援くらい…頑張れくらい…」 兄「良く聞こえない。もっとはっきり言ってくれよ」 妹「頑張れって言ってってはっきりお願いするバカがどこにいんのよ!!じゃあねバイバイ!!」   SE:妹走っていく 兄「あ、ヤバイ行っちまった…また言い過ぎたかな…」 兄「夕食の準備でもしてるか…」 ――――   SE:駅のざわつき 妹「駅ついちゃった…」 妹「わざわざカバンもってくるなんて、そんなに出てって欲しかったんだ…」 妹「もういいや…切符買おう……」   SE:カバンがさごそ 妹「ん…?あれ、こんな紙入れたっけ」   SE:紙 妹「チラシ…?人気のジーンズ30%OFF…何でこんなもの」 妹「裏に何か書いてある……。手のかかる妹へ…?」 兄の手紙 「手のかかる妹へ。  携帯忘れてたから電話勝手に取ったぞ。  母さんからだったから全部聞いた。  ボーカルスクール通ってるならそう言えバカ。  頑張ってることあったら具体的に話を聞かせろバカ。  気付いてやれなかった俺もバカだけど、  話聞いたら応援ぐらいいくらでもしてやるから。  子供みたいに反発ばっかりしてないで、  まずは自分のことを頼れるお兄ちゃんにちゃんと話してみなさい。    PS 携帯の俺のアドレス表記を『お兄ちゃん』に直しておきました」 妹「……」   SE:紙 ――――   SE:妹ドアを開ける。兄料理してる。 妹「……ただいま」 兄「なんだよ早いな。まだ晩飯できてないぞ」   兄料理をしているため振り向かずに妹と会話。 妹「バカ兄貴」 兄「兄貴はやめなさい。そしてお兄ちゃんと呼びなさい」 妹「バカにーちゃん」 兄「おしいな。バカじゃなくて『お』だ。『お』を頭につけてもう一度」 妹「サイフ返してよバカにーちゃん」 兄「サイフ?知らないぞー。カバンの中にあるだろ」 妹「カバンから取ったくせに。この泥棒」 兄「だから知らないって。お前サイフなくても別に小銭入れ作ってあったろ」 妹「200円しか入ってないの知っててそのままにしたでしょ。切符なんか買えるわけないじゃない」 兄「なんのことだかさっぱりだなー」 妹「あとケータイ勝手にいじんないで」 兄「ゴキブリの絵文字に設定してるお前が悪い。お兄ちゃんちょっと泣いたぞ」 妹「だからって勝手に」 兄「あーはいはい分かった分かった。もうすぐできるから大人しく座って待ってなさい」 妹「…お腹すいたから早くね」 兄「はいはい」   SE:妹中に入って座る。しばしの間。 妹「…明日、ボーカルレッスンがあるの」 兄「へぇ、何時から?」 妹「9時。プロの人が教えに来るの」 兄「その人の前で歌うの?まだ全然下手くそなのに?」 妹「教えてもらいに行くからそんなの関係ない。あと下手くそじゃない」 兄「そっか。がんばれよ」 妹「…うん。頑張ってくるね」 妹「…ありがとう」   間 兄「うわやべっ!チャーハンこげた!」 妹「え、なにしてんの!?っていうか晩御飯チャーハン!?もっといいの食べさせてよ!」 兄「文句言う子には何も作りません!って言うか手伝えよ!」 妹「やだできない!大人しくしてろってさっき言ったじゃん!」 兄「できないじゃなくてやらないだけ、いいからこっちきてやってみなさい!」 妹「絶対ヤダ!火傷しちゃう!」 兄「そう簡単に火傷なんてするかよ。料理できない女の子はモテないんだぞ!」 妹「料理できない分は美貌でカバーするもん」 兄「何が美貌だこのペチャパイ!」 妹「うるさいハゲ!」 兄「ハゲてねえよバカ!」 妹「っていうかサイフ返しなさいよこのハゲ泥棒!」 兄「ハゲハゲ言うな!机の上にあるだろちゃんと見ろよバカ!」 妹「ハゲハゲハゲハゲ!」 兄「俺はまだフサフサだよ!」 妹「将来ハゲるもんね!」 兄「わかんねえだろそんなの!」 妹「ハゲる絶対ハゲる!」 エンドレスフェードアウト おしまい