Truth・Lie File Riro (リロ) 男  台本書こうと必死に鉛筆を握る男性。 Sur  (スール)男  リロの兄貴のような人物。 Kemica(ケミカ)女  リロの事を信じられそうで信じられないでいる女性。 ???? (???)両  物語中にいくつか声が聞こえる。本当に作者も誰なのかわからない。 ???? [君の名前は何?] Riro [俺は リロ。] ???? [ふぅん。] Riro [(空を見ながら)なぁ 真実を隠すって・・・ どんな気持ちなんだ?] ???? [有りもしない真実をでっち上げて、まるで本当にあったかのように話す・・・。「バレたらどうしよう」という不安に襲われる。    途中で舌が回らなくなったり、思考が止まって その真実への質問が飛び交うと返せなくなる。    真実を隠すっていうのは、愚かさが溢れる行動で 自分でも後々後悔するんだ。    「大丈夫 大丈夫」って。「絶対バレない」って。自分の中で案じても無駄。     ・・・。案じるとするならば  嘘を消せ。嘘を殺せ と自分に呼びかけたほうがまだマシな気がするけど。」 Riro [・・・。じゃあ隠す必要がないのに 真実を語らないことってある?] ???? [今の君じゃないか。] Riro [・・・。そうか・・・ありがとう] ???? [いやだね。お礼を言われるほど、君の色が見えてない] Riro [色?] ???? [印象、特徴、長所] Riro [・・・。ありがとう] ???? [いいえ。] Sur [隠し事は無しだなんて、奇麗事は通用しないんだ。俺もお前も 真実だのなんだの言ったところで、それが信用できる真実なのか、或いは・・・] Riro [わかってるよスール。でもまだ信じないんだろ?わかってても信じるというのは簡単にはいかないんだろ?] Sur [信じるということは、そいつを知る事の放棄だからな。人間の中で一番存在してはいけない要素の一つは"信じる"なんだ] Riro [それは言いすぎなんじゃないか・・・] Sur [どうだろうね。] Riro [ケミカは?] Sur [・・・。"眠れる雲"の場所さ] Riro [・・・。行って来るよ。] Sur [(呼び止める)リロ。 (ケミカが)知りたがってたぞ。] Riro [・・・。] ???? [眠れる雲って? どういう場所なの?]   Riro [俺達の秘密の場所。いつも青く光ってる雲があって、地面は草がたくさん生えてて、横になると気持ちいい。    どういう場所なのって、よく言ったもんだね。君そこにいるんじゃないの?] ???? [待ってるよ。そこで最後に聞かせてよ。君の真実を] Riro [・・・。 ケミカ。] Kemica [リロね。 あなた。] Riro [うん。 いつまで顔にタオルかけてるの] Kemica [・・・。真実を語るまで] Riro [・・・。君が何かと条件をつけるとき「真実を語るまで」というけど。俺は何回本当の話をすればいいんだ] Kemica [・・・。] Riro [じゃあ・・・。 昨日の話だ。高層ビルの上から人が落ちてきた。けど着地する手前でフッと消えたんだ。    どうしてかわかる?] Kemica [・・・。] Riro [その人高層ビルの屋上から俺に向けてこう言ったんだ。「私の死が 誰かに役に立つと思うと、死にたくてしょうがない」って。    だから俺はこう言ったんだ「じゃああなたが死んで悲しむ人がいっぱいいたらどうするの」って。    そしたら その人が、死んだ"フリ"を俺に見せたんだ。 フッと消えた瞬間また屋上から俺に言ったんだ    「死ぬのが怖い」って。] Kemica [・・・。] Riro [ねぇいつまで黙って俺の話を聞いてるんだ。どうして君は信じないんだ。俺のことを。    どうして人を疑うんだ。その目をどうにかしろ。タオルをかけてくれ。頼む。 ・・・。頼む・・・。] Kemica [・・・。] Riro [・・・。それかr] Kemica [お願い事されたの、これが初めてだよ。 「頼む」って。私には人を疑うという権利があるわ。     ・・・。わかった。 タオルかける。    ・・・。ねぇ 私の質問に答えてくれない?] Riro [・・・。(雲を見る)] Kemica [  君の見てるものって 何?私に教えて ] ???? [答えちゃ駄目だ] Riro [俺の見る世界に・・・。] ???? [駄目だって。] Riro [生きてるはずが無い人間が見えるんだ] ???? [約束だったのに・・・。さようならだ・・・] Kemica [それは辛い?苦しい?] Riro [今でも辛い。一人友達を無くした。] Kemica [今?] Riro [そう 今。] Kemica [そっか・・・。] Riro [辛いよ。彼らは世界の不満を次々と俺にメッセージして、共感する。    俺は最初、彼らの言葉を世界に知らしめなければならないという使命感に狩られて、人々に言い続けた。    「有りもしない真実をでっち上げて、まるで本当にあったかのように話す。聞かされる俺達はそれが真実だと思い込んでしまう。     世界の秩序が乱れるのも、この"嘘"というものが存在するからだ。嘘を消せ。嘘を殺せ。」って。    でも世界の目や耳は、一切俺に傾けれられることは無かった。    今は彼らのメッセージを世界に届けるより、人を信じるという一つの行為の重大性を伝えるために生きてるようなもの。    本来の目的とは違う方向へ進んでいる俺の中に、実は逃げるという選択肢が出てしまっている。    それを選ぼうとすると、友人が一人ずつ減っていくんだ。その度に死んでしまったほうが楽になるんじゃないかって思うほどの苦痛を覚えるんだ] Kemica [じゃあもう一度質問させて。 あなたは人を信じられるの?] Riro [!・・・。] Kemica [・・・。駄目。なんで信じてもらえないんだっていう感情が、あなたを駄目にしてる。リロは私の事信じてないでしょ] Riro [そんなこと・・・!] Kemica [大丈夫。私はあなたの友達よ。目の前にいる。安心して。] Riro [・・・。さっき俺が話したことは・・・本当なんだ。  信じt・・・いや もう信じてほしいとは言わない。とにかく俺のことを話させてくれ] Kemica [うんうん。] Riro [それから俺思ったんだ。人を信じるということは、なんなのか。     その答えは、さっきの友人が持ってた。    人にはそれぞれ "色"を持ってるんだ。] Kemica [色?] Riro [そう。  印象、特徴、長所 この三つを重ねると色がでるんだ。      でも残念だけど、その色は意識して見れるようなものじゃないんだ。    実際俺もケミカの色がわからない。だから見ようとしても無駄なんだ。    でもあるキッカケを起こすことで見れるようになる。    それが"信じる"ということなんだ。     信じるとは、相手の色を理解した時の事を言うんだと俺は思うんだ。] Kemica [・・・。] Riro [だから 俺はまだケミカの事を信じていない・・・。・・・・・・・ ごめん・・・・] Kemica [謝る事なんて一切ないんじゃない?私は嬉しいわよ] Riro [え?・・・] Kemica [信じるとは、その人を知る事の放棄だからね。 ・・・タオルはずすよ] Riro [・・・ 俺はここにいる。これで少しは疑いも無くなった?] Kemica [少しね。 さっき友達がいなくなったって言ったでしょ?] Riro [あ・・・ うん] Kemica [少しは信用してあげて。もうすぐ帰ってくると思うから。] Riro [え・・・?] Kemica [スール!] Sur [なんだぁー!(遠くから)] Kemica [お茶入れて! 今行くから!] Sur [ういよー!] Kemica [はぁ〜 話したらスッキリ。じゃあ お茶飲んでくる リロはここで待ってたら?] Riro [待ってても・・・来ないんじゃないかな] Kemica [・・・。また もぉー! そこで疑ってちゃ意味がないでしょ。あとはあなた次第。 じゃあね] Riro [あ・・・。 うん。] Riro [友人が来る・・・? 友人? 友人だったのかそもそも。俺にいつも話しかけてくれる彼(彼女)。彼(彼女)って一体誰なんだろう。    よくわからない。    ・・・ わからないけど 彼が帰ってくるのを待つ。いつまでも。] ???? [帰ってくる事を信じて。] Riro [おかえり] ???? [ありがとう。待っててくれて。] Riro [いやだね。お礼を言われるほど、君の色が見えてない] ???? [色?] Riro [印象、特徴、長所] ???? [・・・。ありがとう] Riro [いいえ。] ???? [どうするんだい これから] Riro [まず"信じる"っていうことを物語として起こそうと思うんだ。 人を信じるってどんなことか とか] ???? [そうか。がんばれ。] Riro [もう隠す事は"許されない"んだ。隠す必要も無いのにずっと黙ってたんだ。これからは真実を告げなきゃ] ???? [君のその隠し事ってなんなの?] Riro [俺も死んでるんだ。だからここは死人が集まる場所なんだよ。眠れる雲は。] ???? [・・・ってことは私(僕・俺)も死んでるの?・・・。] Riro [そうだよ] ???? [・・・。」 Riro [君の名前は何?] ???? [ごめん まだ教えられない・・・。] Riro [・・・謝る事なんて一切ないんじゃないか?俺は嬉しいよ。] ???? [え?・・・] Riro [信じるというのは、その人を知る事の放棄だからね。] ???? [そうか・・・。] Sur [リロ] Riro [! スール。どうしたの] Sur [リロ!起きろー!] Riro [・・・。ぬぅ・・・。 今何時・・・。] Sur [馬鹿 あー・・・あー!馬鹿お前! 原稿ぐしゃぐしゃじゃねぇか!」 Riro [え・・・。 あー でも昨日うつろうつろしながら書いてたから・・・あんまりいい話はかけてないよ・・・。」 Sur [せっかく夜遅くまで俺も付き合ってやってたのに・・・。つかお前大丈夫か?] Kemica [リロ起きたー? ちょっと出かけてくるよー] Riro [ん。 あ あぁ! いってらっしゃい。 ・・・で 何が?・・・。] Sur [いや うなされてて、知らない名前呼んでたけど なんつってたか覚えてないけど。汗だくだぞお前(笑)おいおいおい大丈夫かー?] Riro [いや全然平気・・・。なぁスール] Sur [なんだ] Riro [夢の中でさ。真実を語ろうとしたら、友達がそれを拒んで、どこかへ行っちゃったんだ。 どうしてかな] Sur [・・・。嘘ついてほしかったんじゃねぇのか ただ単純に。] Riro [そっか・・・。 真実が絶対に正しいってことは無いのかな・・・?] Sur [どうだろうな ていうかお前それを台本に書けよ。読者に問いかけりゃいい。] Riro [・・・。わかった。    "真実"という言葉と"嘘"という言葉 どっちが正しいかな。    みなさんはどう思いますか?身近に信用できる人物はいますか?    簡単に信用したりしていますか?その人の色を理解できていますか?        ここで真実を使うか 嘘を使うかは あなた次第なんだよ。この台本を読んでるあなた。] END